研究内容
科研費プロジェクトによる研究
研究の目的
愛媛・広島県境の瀬戸内海中部の島々(「芸予諸島」)は、いわゆる「京阪式アクセント」と「東京式アクセント」が分布する地域として、アクセント研究の初期段階より注目を集めてきました。しかし、数多くの島が点在していることもあり、実際に調査された島は限られ、これまで調査されていない未調査の島も多く残されています。
芸予諸島には、現在、サイクリストの聖地としても知られる西瀬戸自動車道(通称、「瀬戸内しまなみ海道」)が通っています。戦国時代には村上海賊(水軍)が活躍した芸予諸島の島々を縫う、全長約60kmの道路で、1999年5月1日に全線開通しました。
本研究では、未調査の島が残る芸予諸島域において、広範囲にわたる調査を行い、芸予諸島域のアクセントの実態を解明するとともに、全線開通後20年を経過し、「瀬戸内しまなみ海道」の架橋が、芸予諸島のアクセントにどのような影響を与えたのかについても考察します。
調査の概要
本研究では、2017年度~2022年度にかけて、愛媛県18地点(①~⑱)、広島県側16地点(⑲~㉞)、合計34地点を調査しました(一部、2017年度以前に調査を行った地点もあります)。
愛媛県
①今治市(いまばりし)
②来島(くるしま)
③小島(おしま)
④大島吉海町(おおしまよしうみちょう)
⑤大島宮窪町(おおしまみやくぼちょう)
⑥津島(つしま)
⑦鵜島(うしま)
⑧伯方島(はかたじま)
⑨大三島上浦町(おおみしまかみうらちょう)
⑩大三島大三島町(おおみしまおおみしまちょう)
⑪大下島(おおげしま)
⑫小大下(こおげしま)
⑬岡村島(おかむらじま)
⑭岩城島(いわぎじま)
⑮佐島(さしま)
⑯生名島(いきなじま)
⑰弓削島(ゆげじま)
⑱魚島(うおしま)
広島県
⑲生口島(いくちじま)
⑳高根島(こうねじま)
㉑因島(いんのしま)
㉒向島(むかいしま)
㉓岩子島(いわしじま)
㉔尾道市(おのみちし)
㉕百島(ももしま)
㉖横島(よこしま)
㉗田島(たしま)
㉘福山市(ふくやまし)
㉙走島(はしりじま)
㉚佐木島(さぎしま)
㉛三原市(みはらし)
㉜生野島(いくのしま)
㉝大崎上島(おおさきかみじま)
㉞大芝島(おおしばじま)
新型コロナウイルス感染症の影響や在住人口の関係などから、調査ができなかった地点もありますが、可能な限り、各地点において、高年代(1959年以前生まれ)・中年代(1960年~1989年生まれ)・若年代(1991年以降生まれ)の3世代を調査しました。
研究成果
研究の成果を、報告書としてまとめました。こちらをご覧ください。
すでに公開した研究成果については、研究業績のページをご覧ください。
調査データ
調査で得られたデータを、「芸予諸島方言アクセントデータベース」としてまとめました。
データもご参照ください。